CAVI-J:心血管イベント予知因子としての
CAVIに関する前向き研究

三好 亨
岡山大学病院 循環器内科

背景:これまでの検討でCAVIは動脈硬化を定量的に評価でき、治療効果の判定にも用いることができることが明らかとなってきた。さらに、CAVIを用いて患者のリスク評価を行うためには、CAVIが将来の心血管イベントと関連することを示す必要がある。CAVI-Jは、大規模な多施設の前向きコホート研究(全国から47病院・クリニックの参加)であり、様々なリスクを持った患者における将来のイベントに対するCAVIのカットオフを決定することを目的として2013年に開始された。現在進行形であり、2019年で観察期間が終了の予定である。今回、そのベースラインデータを解析したので報告する。

方法:年齢40-74歳で以下の5つのいずれかの条件を満たす症例(2型糖尿病、メタボリック・シンドローム、I度~III度高血圧リスク第三層、CKD(G3aもしくはG3b)、冠動脈疾患既往、もしくは非心原性脳梗塞既往)が登録され、3001例が解析対象となった。

結果:男性が68%、平均年齢は63歳であった。 重複はあるが糖尿病50%、高血圧70%、CKD30%、冠動脈疾患既往、もしくは非心原性脳梗塞既往40%であり、リスク数の平均は男性で2.7、女性で2.2であった(表1)。

 

CAVIは男女とも年齢とともにほぼ直線的に上昇し、リスクファクターの数の増加とともにCAVIも上昇した。リスクファクターのCAVIに対する影響を検討するため、まず、それぞれのリスクの有無で分類しCAVIを比較した (表2)。

各因子の存在は、有意にCAVI高値と関連していたが、多変量解析を行うと本コホートにおいては、糖尿病の存在がCAVIの上昇に関与する独立した因子であることが分かった(表3)。

結語:今回のベースライン解析で改めてCAVIが動脈硬化リスクを定量的に反映すること、また、CAVIが糖尿病により影響を受ける可能性があることが示された。今後、CAVI-Jによってハイリスク患者におけるCAVIの予後予測における臨床的有用性を明らかにしていきたい。